インフォメーション

■ 会長挨拶

2020年08月05日(水)

 

 学校法人玉手山学園は、建学の精神に「感恩」を掲げ、1942年に大阪府柏原市(浪速の河内国分の地)に創設され長い歳月を重ねて来ました。超高齢社会を目前に控えた1997年には、建学の精神に基づき「福祉科学」の知識・技術を体得し、人の幸せを願う豊かなこころで「福祉科学」を実践する人の育成に取り組み続けるべく、関西福祉科学大学を設置しました。そして、2010年1月には、関西福祉科学大学に「総合福祉科学学会」を創設しました。

 「福祉科学」は、従来の福祉、すなわち、未成年者、高齢者や障害をもち、生活上何らかの支援や介助を必要とする人、経済的困難な状態にある人に対し、生活の質を維持・向上させるためのサービスを社会的に提供したり、そのための制度や設備を整備したりすることを目指す弱者を対象とした目的から、「福祉(welfare)」の本来の語義である「すべての人間が幸せで、豊かである社会を目指すあらゆる試み」を包摂すべく、対象を子ども、青年、壮年、高齢者へと拡大させるさまざまな取り組みを研究対象とする科学へと発展することを目指すものです。つまり、新しい学問領域の創成への道をたどり始めたことを意味しています。関西福祉科学大学の使命として記述されている「臨床福祉」の概念を具現しようとするものです。

 新しい学問領域の創成は、その事業に参加しようとする研究者がすでに獲得している自らの研究に関連する原理や研究法を持ち寄り、いくつもの異なるタイプの研究が互いに相互批判を繰り返すプロセスを経験します。現代科学史は、そのプロセスにおいてはそれまでの研究法は時間経過の中で新しい領域に特有のものへと止揚され、独特の学問領域として確立されて行くことを教えています。したがって、「福祉科学」の確立には、「人間が幸せで、豊かである社会を目指すあらゆる試み」へのさまざまな研究法による多方面からの研究者の参画が不可欠と言えましょう。

 関西福祉科学大学が「総合福祉科学学会」を創設したのは、本来の福祉の語義に沿う「福祉科学」を独特の新学問領域として確立されて行くプロセスを、玉手山学園教員が担おうとする意図を含んでの新たな取り組みと位置づけるためです。したがって、「総合福祉科学学会」の特長は次の通りです。

  • 「新領域である福祉科学を学問分野として確立させることを企図する志を共有するメンバーから生まれた学会」であり、
  • 「豊かな福祉社会構築のためのさまざまな試みを内包する学会」であり、主たる構成員を本学教員、本学大学院生としています。

 「総合福祉科学学会」は「福祉科学」を実践・発信できる学術研究基盤の推進、「福祉科学」の研究者、実践者の相互理解、研鑽、情報交流、共同研究の推進の場です。賛助会員として学外の方々の参加も歓迎しています。関西福祉科学大学の卒業生の皆さんの職務の質・能力向上の場としてもご活用いただけます。多くの方々の参加を得て広く強く「福祉科学」を発信、実践していくことが私たちのねらいです。

 

 

 本学会の運営にご尽力、ご支援いただいている多くの方々に感謝し、多くの参加者を得て活発な学会活動に育っていくことを祈念します。

 

2020.4.1

総合福祉科学学会  会長

関西福祉科学大学 学長  
八田武志

ホームページ管理